双極性障害を深層心理学的にみる(4)

双極性障害では躁状態の極とうつ状態の極の二極があり,深層心理的には二つの極の自己イメージを扱うことが大切になります。プロセスワークの,「ハイドリーム」の「ロードリーム」と呼ばれる無意識レベルのイメージにまで深めるアプローチも重要です。

双極性は,英語では"bipolar"と表記し,’bi’(2つの)+’polar’(極性)をもつという意味です。磁石のN極とS極のように二極性のものを指す単語ですが,この2つの極は両方あることでその働きが活きてくるわけです。双極性障害でも,うつ状態の自己イメージが「否認」されてしまうと,極性のバランスが崩れ,躁状態の自己イメージもうまく活かせなくなってしまうことになります。

躁状態の無意識には「ハイドリーム」があり,理想の自分やある種の万能感に浸っているような感覚が無意識レベルにあるので,そこにとどまりたくなります。そうすると,うつ状態の「ロードリーム」は「ハイドリーム」の世界をおびやかすものになり,「ハイドリーム」に逃げ込むようになります。このアンバランスさが,現実的な検討を困難にして,問題のある行動に走らせたりします。

「ハイドリーム」は文字通り夢(無意識)の次元なので,どんな「ハイドリーム」に動かされてるのかに気づきを向けて,自覚的に現実の中でその自己イメージを生きられるように,一緒に考えていくことも,カウンセリングの重要な方向性になっていきます。