うつ病と双極性障害(1)
うつ病と双極性障害(Ⅱ型)は,どちらも抑うつ状態を主訴として,医療機関を受診される方が多いのですが,医師への伝え方によっては薬物療法がうまくいかず,カウンセリングに来談されるケースが多くあります。
ほとんどの場合,双極性障害(Ⅱ型)なのにうつ病と診断されていて,抗うつ薬が処方されています。抗うつ薬は,双極性障害の気分の波を大きくして不安定になる方向に働くので,一時的に調子が良くなってもしばらくすると再び抑うつ状態が強くなりがちです。双極性障害には,気分安定薬で気分の波をゆるやかにするのが基本的な薬物療法です。
双極性障害は,躁状態と抑うつ状態が波のように交互に訪れるのですが,Ⅰ型の躁状態は派手で経過をみれば判断しやすいのに比べて,Ⅱ型の軽躁状態は調子が良くなった程度に見えることも多いので,鑑別の難しさがあります。調子が良いときに受診される人はまずいないので,診察の短い時間で抑うつ状態のみが主訴に挙がると,うつ病にも当てはまってしまいます。
カウンセリングで症状の経過をていねいに聴いていくと,双極性障害(Ⅱ型)ではないかと思うケースは結構あって,同意をいただいて主治医の先生に情報提供を行うか,クライエントさんが短い時間でうまく伝えられるようにポイントを助言しています。
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