アダルトチルドレン/HSPとうつ病(1)

アダルトチルドレンやHSPという言葉は,クライエントさんが使うことは多いのですが,診断名ではなく判断基準のあいまいさもあるので,専門家としては積極的には使いません。しかし,自分の生きづらさを表すのにピッタリな場合が多いとも感じています。

アダルトチルドレンは,元はアルコール依存症の親という家庭環境で育ち,トラウマ的な傷つきを抱えたまま大人になったために,生きづらさを抱えている人のことでしたが,のちに虐待や機能不全家族といった家庭環境の問題全般に広がりを見せています。生きづらさからストレスを感じることが多く,成長する過程でも抑うつ傾向が続いていき,うつ病になる割合も高いと考えられます。

HSPは,"Highly Sensitive Person"の略で,「とても敏感な人」と訳され,環境の刺激に対して高い感度をもつ繊細なタイプの人を指します。基本的には生まれつきの特性ということで,発達障害傾向と重なる部分もあり,幼少時の家庭環境の影響による後天的な特性もあり得るので,アダルトチルドレンとの関連も高いです。アダルトチルドレン同様,うつ病のリスクは高いと言えます。

僕自身,HSPは当てはまる部分も多いと感じますが,生きづらさを感じている人にとっては,関連書籍などを読んで自分のことを理解してもらえたように感じ,ある種の流行にも発展します。それだけ,生きづらさは周囲に理解されづらいということでしょう。