仮面うつ病と心身症(2)
仮面うつ病は,身体の痛みなどの症状として感じられることが多いのですが,それは心の痛みを身体で表現している心身症といえます。心身症は,診断基準であるDSM-5では「身体症状症」にあたりますが,ここでは古典的な用語の「心身症」と表記します。
不登校の子どもなどが,頭痛や腹痛を訴えるのも心身症の一種です。この背景に,仮面うつ病に近い抑うつ気分があることも多く,その気持ちが語られるように話を聴いていくカウンセリングが重要になります。また,周囲も子どもが訴える痛みを仮病のようにあしらうことなく,心の痛みを表現しているのだと受けとめるような関わりをしていくと,気持ちも語られやすくなっていきます。
心身症は,アレキシサイミア(失感情症)との関連が深いと前回書きましたが,自分の気持ちが聴いてもらえない,わかってもらえないといった経験を重ねた子どもは,感情表現が乏しくなります。自分のの気持ちを表現しないことが常態化すると,無意識化した感情は身体症状として表れます。そのまま大人になると,仮面うつ病になりやすく,聴いてもらえるという体験が重要なのです。
感情を出すことにトラウマ的な心の傷つきがからんでいると,カウンセリングで気持ちを聴かれることに抵抗感を示したりします。抵抗感も表現されづらいので中断にもなりやすく,箱庭やアートセラピーなどの視覚的な表現が有効なケースも多いと言えます。
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