パワハラ等ハラスメントとうつ病(2)

前回,パワハラ等のハラスメントによる「怒り」の感情が,うつ病に関連していることを書きました。社会的・心理的に立場が上の人が加害側になることがほとんどなので,被害側の人は声を挙げづらくなり,まして「怒り」の感情を出すことは困難といえます。

深層心理学的アプローチのところでも書きましたが,カウンセリングでは抑圧された「怒り」を正当なものとして扱い,「怒り」にていねいに気づき表現できるようにお話を聴いていきます。それに加えて,パワハラ等のハラスメントでは,ストレス状況も改善できるように,「環境調整」と呼ばれる具体的な対処についても考えていくことで,心理的なダメージの軽減を図っていきます。

具体的な対処というのは,会社での話ならハラスメントの窓口を確認したり,プライベートな関係なら味方になる人とつながるといったところから始めますが,実際に行動を起こすかどうかはあまり問いません。うつ状態では,行動を起こせるエネルギーが戻らないと難しいということもありますが,対処する具体的なイメージをもつことで,正当に「怒り」を向けることが目的になります。

もちろん,実際に行動を起こして状況が改善できるなら,それに越したことはありませんので,その後押しもしていきます。パワハラであれば,被害を受けた人が奪われた深層心理的なパワーを取り戻し,パワーを自覚的に用いることはとても有効に働きます。