双極性障害を深層心理学的にみる(1)

双極性障害には,Ⅰ型とⅡ型がありますが,いずれも薬物療法とカウンセリングの併用が重要になります。Ⅱ型のカウンセリング経験が多いため,このブログでは基本的に,躁状態が比較的マイルドなⅡ型について,深層心理学的な視点で書いていきます。

Ⅰ型の人にも参考になるとは思いますが,Ⅱ型を含めて,薬物療法を続けて気分の波が落ちついていることが,カウンセリングの前提になります。方向性としては,二極化した自己イメージの統合と,僕が「(気分の)波乗り」と呼んでいるセルフケアを身につけていくことが主になります。「波乗り」が自然にできるようになれば,減薬していき薬をやめることも可能だと考えています。

二極化した自己イメージというのは,双極性障害の人や僕のような双極的な気質をもっている人の多くに見られます。それは,躁状態の極の自己イメージと抑うつ状態の極の自己イメージに二極化しているわけです。そして,抑うつ状態の極の自己イメージは,防衛機制によって「否認」されていて,躁状態の極の自己イメージに同一化(それが自分だと思うこと)していると言えます。

躁(Ⅱ型の軽躁)状態は,気分がのっていてアイデアが次々に出てきますし,集中力も高く能力を最大限に発揮し成果に表れます。抑うつ状態を自分じゃないように感じるのも自然な気持ちですが,双方の極を受け容れ統合することで気分は安定していきます。