不安障害のカウンセリング(3)

不安や恐怖がつきまとうような感覚が不安障害の特徴といえますが,深層心理学的には心の中の大切にしたい何かが脅かされているということになります。不安や恐怖は苦しいですが,ひもといていくとあなたが大切にしたいものを見つけられることが多いです。

例えば,不安や恐怖の対象が,病気や事故などの命に関わるものである場合は,あなたが命のエネルギーをどう使っていくのかがテーマになっている可能性があります。何のために生きるのかという実感や,生きがいを感じられる何かを見つけられると,不安や恐怖は薄れていったりします。不安や恐怖という症状が,より心の深くにあるテーマの自覚を促していることは珍しくありません。

不安や恐怖を避けようとするのは,前回書いたように自然な反応ではありますが,本質的には安全安心を求めての反応といえます。前述の例であれば,本質的には生きることの安全安心を求めているのですが,それが何かに妨げられ思うように生きられない悲しみやつらさが不安や恐怖という症状で表現されているわけです。その症状の意味をひもとくのが,深層心理学的なアプローチです。

不安や恐怖と向き合って,あなたが本当に大切にしたい何かを見つけるためには,ひとりではなかなか難しいので,専門家のカウンセリング/心理療法が必要になります。それを通して,症状の意味をひもとき,本来の自分を取り戻すことが可能になるのです。