うつ病と不眠症/睡眠障害(3)

不眠症の主な症状である,入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒について,前回は入眠困難について書きましたが,今回は中途覚醒・早朝覚醒について書きたいと思います。これらは,うつ病になると増化する傾向にあり,入眠困難から移行したり加わったりします。

中途覚醒と早朝覚醒は,基本的には類似していますが,中途覚醒は本人は覚えていないこともありますが悪夢などで目覚めることが多く,仕事や人間関係等のストレスが関与していると考えられます。早朝覚醒は,仕事などに出かけることに関する不安や緊張が大きな要因と考えられ,過眠の傾向で寝過ごした経験の裏返しの場合もあります。いずれも,経緯や日中の様子が参考になります。

不眠症のタイプと,要因としてどのようなところが中心となっているかは,カウンセリングを進める上でのヒントになります。うつ病の症状として精神活動が乏しくなるため,漫然と傾聴や共感をするだけでは話題があまり展開せず,悪循環からの打開点を見つけるのが難しいことが多いです。不眠のつらさを受けとめながら,ポイントを絞った具体的な質問をしていくことも必要と言えます。

その他,睡眠障害の領域になると基本的には医療での治療が中心になると考えられますが,過眠傾向による概日リズム睡眠障害などについては,不登校やひきこもりなど,社会適応上の問題につながるケースが多いので,私見を含めもう少し書きたいと思います。