うつ病を深層心理学的にみる(2)

前回,うつ病の背景には,「怒り」の「抑圧」があると書きました。「怒り」のエネルギーはかなり強く,それを「抑圧」するにも相当のエネルギーが必要です。これらは無意識の領域で拮抗し,かなりの心のエネルギーを消耗して,抑うつ状態を生じさせます。

「抑圧」は,英語で"repression"ですが,’re’(反対に)+’pression’(抑える)という意味があります。「抑うつ」は英語で"depression"ですが,’de’(下に)+’pression’(抑える)となるので,ほとんど意味は同じです。防衛機制である「抑圧」は,自我(自分)をその時に守る必要があるので働きます。深層心理学的に,「抑うつ」状態は自分を守る働きがあるとも言えます。

「怒り」が勝手に解放されると,他人を傷つけることもあるし,人間関係で困ることも多いでしょう。解放してしまったことで,後悔したり傷ついてトラウマが残ったりした経験があるかもしれません。「怒り」は,扱うのが難しい感情ですが,人として自然に感じる正当な感情であれば,その感情をもつことを自分自身で許してあげることも大切なカウンセリングの過程になります。

正当な感情としての「怒り」は,「魂」のようなレベルにある,あなたが本当に大切にしたい何かが傷つけられた反応であることも多いです。「怒り」などのネガティヴな感情をひもといていくと,「魂の願い」のような深い気づきにもつながっていきます。