不安障害のカウンセリング(2)

前回書いたように,不安や恐怖は自分を守るための自然な反応です。ただ,心のバランスを崩してしまうと,不安や恐怖が襲ってくるような感じで,日常生活に支障をきたしてしまいます。その心のバランスをとるのが,カウンセリング/心理療法となります。

不安や恐怖が大きくなっていると安全安心が脅かされるため,それを避けようとするのも自然な反応です。「社会不安障害」や「パニック障害」などは,そのような場面を避けようとします。「強迫性障害」も不安が大きな要因ですが,不安を避ける形で安全安心を何とか得ようとする行為が症状となっています。このような意味で,症状が出ている時は逃走反応が出ている状態といえます。

ここで「逃走反応」と書いたのは,危険に対する動物的な反応のことで,自律神経系の乱れを表しています。不安や恐怖に対しての症状は,強い緊張状態といえますが,自律神経系では交感神経の亢進となり,それが極端になるのが「過呼吸」や「パニック発作」と呼ばれる症状です。これらの発作的な症状がない時にも,交感神経の優位が続き,副交感神経がうまく働かなくなっています。

この発作的な症状に対しては,抗不安薬などが処方されますが,不安や恐怖に対する感受性を麻痺させるような形で働くと思われます。カウンセリングでは,自律訓練法や呼吸法を身につけて,副交感神経の働きを改善して交感神経を抑制する方向を目指します。