うつ病を深層心理学的にみる(4)

感情の表出によるトラウマ体験,例えば「怒り」を表出して大変なことになった場合など,「抑圧」がかなり強力なケースがあります。それが,大切な何かを守れなかったという自分自身への「怒り」になっていることもあり,それもうつ病に発展していきます。

「怒り」に伴う自分の外側に対する攻撃性が自分の内側に向けられるために,うつ病に発展するケースが多いと書きましたが,もともと自分自身に対して「怒り」があることも多くあります。この場合,出来事に伴う「悲しみ」や「後悔」などが最初にあって,自分を責めてしまう形で「怒り」を向けます。責任感の強い,「メランコリー親和型」がうつ病になりやすい傾向とも合致します。

「怒り」を表出して大変なことになった場合も,「悲しみ」や「後悔」を伴います。いったんは,「怒り」が自分の外側に表出されているので,「抑圧」の防衛機制ではありませんが,「悲しみ」や「後悔」がトラウマのレベルに達すると,「解離」という防衛機制が働きます。「解離」が起こると,「怒り」の感情に気づくことがかなり難しく,うつ病も重くなるケースが多いと言えます。

この場合,「悲しみ」や「後悔」は無意識的な働きとなり,深層心理学では「コンプレックス」と呼ばれます。ここから自責などの「怒り」が自分自身に向けられ続けるため,カウンセリングの中心は「コンプレックス」を扱うことが中心になっていきます。