双極性障害のセルフケアと予防(2)

双極性障害で,気分の波がうつ状態に入ったときの過ごし方は,うつ病の場合と似ています。心の力を抜くことが大切なのは共通しているのですが,双極性障害の場合は,気分を上げようと焦ってしまう傾向が,うつ病の場合よりも強いように感じています。

うつ病の場合は,何もする気が起きなくなることが多いですが,双極性障害のうつ状態は,結構やる気が保たれていることが多いと言えます。躁状態の時期にやる気がみなぎっているところから,気分の波が落ちていくので,やる気はあるのにパフォーマンスが上がらない感じが強いです。次のアイデアはあるのになかなか進まず,もどかしい想いが強くなり,焦りを募らせがちになります。

トランポリンを跳んでいるときに,意識して力を入れるとうまく跳べません。体の力を抜いて,トランポリンのバネの反動に任せるようにすると自然に体が上がります。双極性の気分の波に乗るコツは,これと似ています。焦って気分を上げようとすると,かえって気分の波が上がろうとするタイミングとズレてしまい,気分の波が不安定になって上がるはずの気分も上がらなくなります。

このコツは,感覚的に体得していくような側面が強く,頭では理解していても感覚をつかむまでには時間がかかります。自分の気分の波がどこにある時にどんな感覚で,自然な状態だとどう動いていくかが把握できると,心の力も抜きやすくなっていきますよ。