うつ病と双極性障害(2)

うつ病と双極性障害は,精神医学で用いられる診断基準,DSM-IVでは同じ「気分障害」というカテゴリーに入っていましたが,現在のDSM-5では,別々に分類されました。症状は似通っている面がありますが,メカニズム的には異なるためですね。

うつ病は,嫌な想いをしたりショックを受けたりといった精神的ストレスや,多忙で疲労が蓄積されたり仕事などで高い負荷が続いたりといった肉体的ストレスで,セロトニンなどの脳内物質の働きがうまくいかなくなった状態とされています。この意味では,強いストレスを受け続けると,誰でもなり得る精神疾患です。「心が弱いからなる」というのも誤解と言えます。

双極性障害は,躁うつ病とも言われますが,遺伝的な気質(脳的には体質というべきかも)があり,躁状態とうつ状態を繰り返す気分の波によって日常生活に支障をきたす状態とされています。気分の波がもともとあるので,成長過程で自然にコントロールできるようになっていることも多く,そのバランスが崩れたときに発症する精神疾患ではないかと感じています。

実は,僕も双極性Ⅱ型の気質をもっていて,ずいぶん前ですがうつ状態で抗うつ薬をのんでも改善しなかった経験者です。今では,自分の気分の波を把握して,それをうまく乗りこなせばいいと経験的に知ったので,カウンセリングにも活かしています。