うつ病と双極性障害(3)
うつ病と双極性障害は,どちらも抑うつ状態があり,その症状だけではなかなか区別がつきません。このため,数年間ぐらいのスパンで気分の波がどう推移してきたのか,経過を振り返っていくことが重要になります。
双極性障害の場合,気が大きくなったり,怒りっぽくなったり,アイデアが次々に出てきたり,テンションが上がって眠らずに没頭したり,何かしら躁状態と思われる時期が,経過を聴いていくと何度かあります。ただ,本人の自覚は薄いケースが結構あります。本人は,躁状態のときが健康というか,良い状態の基準になっていることが多く,うつ状態のみを訴えることになりがちです。
うつ病の場合は,双極性障害のようなエピソードがほとんど見られません。「メランコリー親和型」と呼ばれたりしますが,性格的に生真面目で,ストレスになるような出来事を正面から受けとめてしまう人が多いので,お話を聴いていると,ある種の心の硬さを感じます。自責の念が強く,話を聴く限り本人は悪くないと思うことでも,自分を責めるような言動が目立つ傾向があります。
この意味では,双極性障害の人は,自信があったりテンションが高い状態に自分の基準をおくので,うつ状態でも自責の念の強さはあまり感じません。「これは本来の自分ではない」という感覚がどこかにあるので,そこには違いがあるように思います。
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