パワハラ等ハラスメントとうつ病(1)

うつ病になる要因は様々ですが,ストレスに対して適切に対処できずに自律神経や心のバランスを崩すというのが,ひとつの大きな要因と言えます。ストレスの多くは人間関係によるものですが,中でもパワハラ等のハラスメントは対処が難しいと思います。

ハラスメントという言葉は,最近は様々な形で使われますが,受けている本人が不快であったり不利益を被ったり,心を傷つけられたりする行為(言動・行動)を指します。ハラスメントの概念は,アメリカなどで問題視され広がったものですが,パワーハラスメントという用語は日本で生まれたようです。「パワー」という力の行使である点で,上下関係の影響が大きいと考えられます。

「パワー」といっても,上司と部下などの社会的なものもありますし,いじめやDVなどに見られる精神的な力関係,多数派と少数派という数の力などもあります。いずれにしても,力の行使を受けた方は何らかの被害感情をもちます。多くの場合,そこには「怒り」の感情が伴いますが,その「怒り」が無意識に抑圧されたりすることによって,うつ病にまで至るケースがよく見られます。

以前にも,深層心理学としての文脈で,うつ病と「怒り」の関連について書きましたが,パワハラ等のハラスメントで難しいのは,その力関係によって「怒り」をひたすら我慢したり,自分の方が悪いように感じたりして,適切に表出できない点にあります。