パーソナリティ障害と双極性障害(2)

双極性障害に似た気分の浮き沈みをもつ人の中に,パーソナリティ障害をもつ人が含まれます。カウンセリングでも,初期には判別が難しいことが多いですが,経過をみていくと異なる特徴が見えてきます。今回は,「境界性パーソナリティ障害」を挙げます。

「境界性パーソナリティ障害」をもつ人は,対人関係で主に相手側のイメージが安定せず,理想化したり全否定したりという中で,気分が不安定になります。対人関係のエピソートが語れるぐらいの水準の人であれば,その内容と反応を聴いていけば判別はそれほど難しくないと思いますが,自分の気分に焦点が当たりすぎて混乱すると,エピソードがあまり出てこないので難しくなります。

基本的には,気分の変化を経過として見たときに,波としてイメージできるかどうかがひとつのポイントです。双極性障害の場合は,不安定になってはいても基礎に波がある感じはあります。境界性パーソナリティ障害の場合は,折れ線グラフのよう直線的な感じという違いがあります。その振れ幅が大きいため,経験が少ないとカウンセラー/セラピストでも翻弄されることが多いのです。

特徴的なのは,カウンセラー/セラピストに対しても不安定な対人関係イメージをもつ点で,境界性パーソナリティ障害の場合のカウンセリングは,困難例として報告されることが多くあります。カウンセリングの実際については,改めて書きたいと思います。