発達障害の特性とうつ病などの精神疾患(1)

発達障害には,自閉症スペクトラム障害(ASD),注意欠如・多動性障害(ADHD),限局性学習障害(SLD)に大別されますが,これらの困難に伴うストレスが重なり,抑うつ状態で不適応を起こしたり,うつ病などの精神疾患にまで発展することがあります。

発達障害は診断が複合することもあり,自閉症スペクトラム障害の特性が中心にあるとストレスの蓄積から抑うつ状態に陥る可能性が高いと考えられますので,ここでは自閉症スペクトラム障害に関する特性に関して主に取り上げたいと思います。自閉症スペクトラム障害では,物事の捉え方の独特さとコミュニケーションの困難さが,抑うつ状態やうつ病を引き起こす要因になっています。

興味の対象が非常に限定されていたり,独自の世界観から物事を捉えたりするので,自分の興味関心を他の誰かと共有することが難しいと言えます。また,ニュアンスや場の空気といった言葉以外の部分を捉えるのが苦手で,コミュニケーションで噛み合わないことが多いです。このようなことが重なって思春期頃から孤立しやすくなり,抑うつ状態が膨らみ不適応や不登校につながります。

自閉症という文字の印象もあり,人と関わることを好まないと思われがちですが,本質的には関わりを求めています。しかし,求めてもうまく関わりをもてず,孤立したりいじめに遭うこともあったりして,あきらめてしまっているというのが実際のところです。