うつ病のセルフケアと予防(3)

うつ状態を,心が溺れそうになっているイメージに例えて,心の力を抜くことが大切と前回書きましたが,これがなかなか難しいと思います。うつ病になりやすい人は,頑張り屋さんが多いので,頑張らないで休むようなことが苦手な人が多いと感じています。

うつ病の人に「頑張れ」と励ましたりすることがタブーというのは,周囲の人への一般的な助言なのですが,もともと頑張っている人に頑張れと言っても,「これ以上何を頑張れっていうの?」という感覚になりますよね。基本的には,心のエネルギーが枯渇している状態なので「休みましょう」とカウンセリングでもお伝えするのですが,休むことに罪悪感があったりするので難しいです。

この場合,自己否定的なイメージが強いことが多くて,自分の欠点や問題点に焦点を当ててしまいがちです。それを何とかしようと頑張っているのですが,頑張っていることで欠点や問題点を直視しなくてすむという側面があります。休んでしまうと,自分の欠点や問題点が浮き彫りになってしまうので,うつ病で休職しているのに,家で勉強したりして心を休められない人は結構多いです。

子どもの頃,親や教師に欠点や問題点ばかり指摘され続けると,こういう心のクセがつきやすいです。欠点や問題点があっても,自分が受け容れられ,価値がある存在だと感じられる体験が必要なので,カウンセリングの関係性でもそれを大切にしていきます。