自律神経失調症とうつ病

自律神経失調症について知っておくことは,うつ病の予防という点でも大切だと思います。それは,ストレスの蓄積によって生じやすい疾患という意味で近似しているので,ストレス蓄積による体のサインと捉えて,早めにケアしていくことが必要だからです。

自律神経失調症というのは,正確には医学上の診断名ではないのですが,ストレスによる様々な身体的不調が多岐にわたるため,休養やストレス緩和などが必要な状態であることを示すときに,疾患名として多く用いられています。その症状は,自律神経のバランスが崩れたことにより起こり,頭痛やめまい,息切れや動悸,胃腸の不調,腕・肩・背中・腰などの痛みなど,様々に表れます。

不眠も,自律神経失調症の症状のひとつで,うつ病の場合も不眠が多くの方に見られますので,不眠が含まれる場合は要注意です。また,「仮面うつ病」と呼ばれる症状は,あまり気分の落ち込みなどが見られず,身体的不調が自覚症状として前面に出てきます。この場合,自律神経失調症と区別することは難しいぐらい症状が類似しているので,身体症状が強い場合も要注意と言えます。

身体的不調が自覚症状であれば,内科などを受診して身体疾患がないかどうか確認することも大切です。検査などで特に異常がないのであれば,ストレスの蓄積でも身体症状が出ることを理解して,ストレスを緩和するようなカウンセリングが重要になります。