自律神経のバランスとセルフケア(1)

自律神経について,最近はメディアでも取り上げられることが増えていますが,カウンセリング/心理療法の領域でも,自律神経のバランスは重視されています。自律神経について簡単に説明して,そのバランスを調整する大切さについて書いていきます。

自律神経は,交感神経と副交感神経に大別されます。交感神経をアクセル,副交感神経をブレーキに例えたりしますが,緊張状態では交感神経が優位に働き,リラックス状態では副交感神経が優位に働きます。緊張状態になるのは,動物の場合は狩りをするときや縄張り争いなどで戦闘か逃走するときに働くぐらいです。それ以外はリラックス状態にあるのが,生体としての自然な状態です。

人間の場合,勉強や仕事などで長時間の緊張状態を強いられます。その間,交感神経が働きっぱなしということになりますが,交感神経が働く時間は,本来的には1日2時間程だということです。それも,2時間も緊張を維持するという場面は,自然界の動物ではほぼないでしょう。人間は,交感神経をかなり酷使する環境にあり,バランスを崩しやすい状態に置かれていると考えられます。

交感神経と副交感神経はシーソーのように優位性が切り替わるものですが,交感神経を酷使すると副交感神経に切り替わりづらくなり,リラックスできず緊張状態が続くことで,うつ病でも多く見られる食欲不振や不眠などの症状につながるというわけです。