アダルトチルドレン/HSPとうつ病(2)

アダルトチルドレンやHSPといった生きづらさを抱えている人は,そうでない人に比べるとうつ病などの精神疾患になってしまう可能性が高いと言えます。今回は,アダルトチルドレンを中心に取り上げて,カウンセリング/心理療法について書いていきます。

アダルトチルドレンは,子どもの頃の家庭環境に何らかの要因があると考えられるため,それが虐待などトラウマになるレベルであれば,診断名としてはパーソナリティ障害に該当する場合も結構あります。命に関わるような虐待などでは,PTSDや解離性同一性障害(いわゆる多重人格)も充分あり得ますので,トラウマに対するカウンセリング/心理療法が中心になることが多いです。

もともと,アダルトチルドレンの概念は,これらの診断名がつくような病態水準ではなかったと思いますが,自分がアダルトチルドレンだと感じている人の中には,診断名がつくような方も結構おられます。また,虐待的な家庭環境で育つことによって,発達障害に類似した状態像を呈することが多くあり,家庭環境の情報や本人がどのような経験をしてきたのかを振り返ることも大切です。

ただし,トラウマによる傷つきが深い場合には,安易に振り返ることは悪化する危険を伴いますので,長期的なカウンセリングのもとで,どのような状態にあるのかの見立てを丁寧に行いながら,安全な形でひもといていくような取り組みが重要になってきます。