うつ病のセルフケアと予防(1)

ストレスなどがかかって精神的な不調が続くと,うつ病にまで悪化してしまう場合があります。また,抑うつ症状がある程度改善しても,思いグセというか心理的な習慣が変わらないままだと,再発する危険性があるので,セルフケアと予防について書きます。

うつ病にまで悪化する要因は様々ですが,何らかのストレスが重なっていることが多いです。ストレスとしての要因に心当たりがない場合は,脳の疾患や糖尿病などの身体的な要因,甲状腺の疾患や更年期などホルモン系の要因などもチェックした方がいいので,医師の診察が大切になります。ただ,ストレスを感じないようにしているうちに,鈍くなっているケースも多くあります。

HSPと呼ばれる高い繊細さをもつ人などは,もともとストレスを感じやすいので,感じないようにする習慣がついてしまう傾向があります。対処できない強いストレスが急に起きたときも,そうして対処しようとすることがあります。「心を感じなくしたい」と言ってカウンセリングに来られる方もおられますが,ストレスが蓄積することで突然重い症状が出る方が長期化しやすいのです。

ストレスを感じなくすることで,喜びや幸せを感じる感受性もなくしてしまいます。うつ病のセルフケアにおいては,ストレスを繊細に感じてこまめに対処し,カウンセリングを通して喜びや幸せを見つけられる方向に習慣をつけていくことが基本になります。